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国内電力が抱える問題とは?社会情勢の変化や人口減少がカギ

2022.05.22

前回のコラムでは「新電力」と「電力自由化」について、一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)の役割も交えながら解説をしました。

【新電力の仕組みって?-JEPXが担っている役割とは-】

今回は今後日本で起こりうる電力に関連する問題を3点取り上げていきます。国が抱えている電力事情についての理解を一緒に少しずつ深めていきましょう。

①社会情勢の変化による影響

新電力による電気料金の多くは「市場連動型プラン」を採用しています。このプランは、JEPXでの取引価格に連動して電気料金プランの単価が決まりますが、天然ガスや石炭の価格によっても価格は変動するのです。

つい最近では、ロシアの天然ガスの供給が少なくなったことで世界的に価格が急騰しました。もちろん日本でも、3月以降大手電力会社の電気代が大きく上がっています。

今後も、天然ガス・石炭の排出国および市場で一定の力を持っている国々に社会的な変化が起これば、価格が変わっていく可能性は充分に考えられるでしょう。

②送配電設備

電力は「電気を供給する量」と「電気を消費する量」が常に同じタイミングで同量でなければいけません(同時同量の法則)。この量が常に一致していないと、周波数が乱れたり、停電が起きたりするなど、電気の供給が正常ではなくなるといった影響があります。

この需給バランスの管理は基本的に大手電力会社のエリアごとに行われており、隣の電力会社が管轄するエリアに流せる電気の量は限られています。そのため、仮に需給がひっ迫してしまったときなども、隣の電力会社との電気の貸し借りは簡単にはできないのです。

現在、太陽光発電システムや蓄電池、電気自動車などの住宅設備を持っているユーザーが、その電気を集約・遠隔制御して、電力の需給バランス調整などを一つの発電所のように管理する「VPP」に注目が集まっていますが、このVPPを実現させるためにも、送配電に制限がかかる電力会社の送電網だけに頼らない「独自送電網」の普及が課題となっています。

③人口減少による影響

少子高齢社会の進行・地方の過疎化といった問題は、電気供給においても重要な課題です。人口減少が激しい地域においては、電力会社による従来の事業形態存続が難しくなってきているのです。

人口減少が進むということは、すなわち「電気の需要が少なくなる」ことに繋がります。他の社会インフラと同じく、電気を生み出すためにも発電コストや施設の維持管理コストは当然発生します。しかし、人口減少によって電力需要が少なくなることで、これまでのインフラを維持するためには将来の電力供給コストが増大していく可能性があるのです。

インフラコストが上がることによって、さらに地方離れが進む可能性もあります。人口減少による諸問題は、これから一層真剣に考えて対策をしていくべきでしょう。

この記事では、私たちの生活に密接に関わっている「電気」について、今後起こりうる問題について紹介をしました。今後も環境に関する問題を発信してまいりますので、ぜひ地球や国のあり方について考えるきっかけになれば嬉しいです。

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