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【世界環境ジャーニー・ブラジル】再生可能エネルギー大国であるブラジルの現状

2024.07.23

世界各国の環境への取り組みを取り上げる「世界環境ジャーニー」、今回で4回目のお届けです。

二酸化炭素を含む温室効果ガスによる気候変動は、日本だけでなく世界的な問題です。世界が一つとなって環境問題に取り組むべき状況の中で、各国はどのような取り組みを進めているのでしょうか。

今回は、ブラジルについて見ていきましょう。

アマゾン川の森林破壊を食い止める動きが進む

日本の真裏にある国として知られているブラジル。人口は日本の約2倍にあたる約2.1億人、なんと国土面積は日本の約22.5倍にも及んでいます。

そんなブラジルには世界最大の流域面積を誇るアマゾン川があります。ブラジルを中心として、ベネズエラやコロンビア、エクアドルなど各国をまたがっている非常に大きな川です。そして、アマゾン川流域には、こちらも世界最大面積を誇る熱帯雨林であるアマゾンがあります。

アマゾンにはとても多くの木々が生えており、木が二酸化炭素を吸収して酸素を放出することから「地球の肺」とも呼ばれています。なんとアマゾンでは、地球上の酸素の20%も供給していると言われているのです。私たちが住む地球において、アマゾンが成してくれている役割は非常に大きいといえるでしょう。

しかし、「地球の肺」であるアマゾンも、開発によって木々が年々減少しているという大きな課題を抱えています。1940年代に政府によるアマゾン開発計画が始まると、道路や農業開発地が次々に建設され、開拓が進んでいきました。結果として、もとの面積の15%が既に失われたともいわれています。

この影響を受け、ブラジル政府は森林伐採の増加を減らす取り組みを始めています。具体例としては、違法伐採に対する法的規制の強化、新たに300万ha分の保護区を設定するなどが挙げられます。この取り組みの成果もあり、2023年上半期におけるアマゾンの森林破壊は、前年同期比で約33.6%減少しました。

さらに、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、ブラジル政府が温室効果ガス排出量を2005年比で2025年までに37%、2030年までに43%削減すると宣言しています。加えて、2050年までのカーボンニュートラル達成の目標も掲げています。

参考:Amazon deforestation down by a third in 2023, says Brazilian government|BBC

参考:ブラジルにおける気候変動対策を巡る動向|日本貿易振興機構(ジェトロ)

ブラジルは世界有数の再生可能エネルギー大国

ブラジルは、再生可能エネルギーの割合が非常に高いことでも知られています。 

再生可能エネルギーの分野における世界中の政府・民間企業のネットワークである「21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク(REN21)のレポートによると、ブラジルの再生可能エネルギーにおける比率はなんと約45%にも及んでいます。

出典:RENEWABLES 2021 GLOBAL STATUS REPORT:REN21

これは、アマゾン川の豊富な水を活用した水力発電が活発に行なわれているからです。水力を加えた再生エネルギー発電設備容量は、ブラジルは2018年時点で世界3位となっています。

しかし、電力供給を水力に依存していた影響として、渇水によって大きな打撃を受けた歴史もあります。その影響もあり、水力発電に偏った電力供給からの脱却に向けた動きが始まっています。

2029年までのブラジルにおけるエネルギーミックスの見通しは以下のとおりです。

参考:PDE 2029

まとめ

今回は、ブラジルの現状について取り上げました。世界最大の熱帯雨林であるアマゾンは、地球の気候調整に重要な役割を果たしています。アマゾンの森林破壊をどれだけ食い止めるかが引き続き大きなポイントとなるでしょう。

アップルツリーは今後も、国内のみならず各国で行われている環境問題への対応を紹介してまいります。

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