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【世界環境ジャーニー・ドイツ】再エネ推進と脱原発を同時に進める環境先進国の取り組みとは?

2022.07.28

二酸化炭素を含む温室効果ガスによる気候変動は、日本だけでなく世界的な問題です。世界が一つとなって環境問題に取り組むべき状況の中で、各国はどのような取り組みを進めているのでしょうか。

今回は、脱炭素化を推進しつつ2022年にすべての原発を停止予定のドイツについて見ていきましょう。

再エネをリードする国・ドイツ

再生可能エネルギーで発電された電気を国が定めた価格で一定期間電力会社が買い取る制度であるFIT(固定買取価格制度)がドイツで導入されたのは2000年のこと。二酸化炭素排出削減に取り組む国々のなかでいち早くこの制度を導入し、環境への取り組みを世界でリードしてきました。

この政策もあって再生可能エネルギー発電の普及が急速に拡大するなかで「再エネ賦課金」の金額が急上昇したことが問題となり、国民からのFITに対する不満が徐々に高まってきました。

そこで2014年に導入されたのがFIP制度です。FIPとは「Feed in Premium」の略称であり、再エネを市場に供給した発電事業者に対して一定の補助額(プレミアム)を付与する制度です。

FIPはFITと比べると、投資回収の予測が立てにくく、天気や需要を予測するコストが事業者に対して余計にかかってしまうとの問題もありました。その問題に対応するため、取引や天気を予測するためのコストをカバーする仕組みなども生まれています。

その後もドイツは、入札制度の導入など太陽光や風力といった再生可能エネルギーを促進するための取り組みを国を挙げて行ってきました。

2022年までに脱原発を完了

ドイツは再エネ政策を推し進めてきた一方で、EUで初めて脱原発政策を進めてきた国としても有名です。この背景には、東日本大震災によって起きた福島第一原子力発電所の事故も影響しています。

2011年当時は17基の原発が稼働していましたが、すでに14基が停止され、残る3基も2022年末までに停止予定です。

これにより、ドイツの電力全体に占める原子力の割合は2020年に11%にまで低下しています。さらに、再エネ比率は2010年から比較すると17%から45%にまで上昇しました。

一方、ドイツはEUの首脳会議によって年末でロシアからの石油輸入を止めることに合意しています。将来的に天然ガスの輸入が止まることも見越した上で、ガスの利用ではなく石炭利用も再び開始しようとしています。これは政府が掲げていた「二酸化炭素排出削減」と逆行する動きでもあるため、国内では批判の声も挙がっているのです。

2030年までに総電力使用量に占める再エネ割合を80%へ

ドイツは、1990年比で2030年に二酸化炭素を含む温室効果ガスを55%削減するという目標を立てています。また、2030年の再生可能エネルギー割合目標を総電力使用量の80%としました。

また、ドイツの2021年時点のエネルギーミックス(電源構成)は、石炭9.1%、水力3.2%、褐炭18.4%、天然ガス15%、太陽光8.3%、バイオマス7.5%、廃棄物2%、風力19%、地熱0.1%、原子力11.5%、鉱油0.8%、揚水発電0.8%、その他4.3%となっています。

出典:AGEB

2030年までにはこの構成を、石炭15%、水力4%、褐炭21%、天然ガス15%、太陽光9%、バイオマス2%、廃棄物発電2%、風力20%、輸入6%、バイオガス4%、石炭ガス2%とすることを目指しています。

出典:OEKOBAUDAT

その他ドイツでは、環境への取り組みとして下記の取り組みも行っています。

  • 屋上緑化面積を増加させる「屋上緑化運動」の推進
  • リサイクルを促すためのデジポット制度「プファンド」

今回はドイツで行われている環境対策について、再エネ推進・脱原発を中心に取り上げました。アップルツリーは今後も、国内のみならず各国で行われている環境問題への対応を紹介してまいります。

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