GX推進

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国内で取り組みが進んでいる「ZEB」とは?概要と実例を紹介

2023.12.23

ZEB(Net Zero Energy Building)とは

ZEB(Net Zero Energy Building/ゼブ)とは、年間を通じて建物が消費するエネルギー量と、建物に設置された太陽光発電などの再生可能エネルギー源によってつくられるエネルギー量が同等になるように設計された建物のことを指します。

【ZEBの4つの定義】

・ZEB:省エネ+創エネで年間の一次エネルギー消費量を0%以下まで削減する建物
・Nearly ZEB:省エネ+創エネで年間の一次エネルギー消費量を25%以下まで削減する建物
・ZEB Ready:創エネで年間の一次エネルギー消費量を50%以下まで削減する建物
・ZEB Oriented:ZEB Readyを見据えた10,000平方メートル以上の建物

ZEBの目指すところは、化石燃料の依存を減らし、温室効果ガスの排出を削減することにあります。エネルギーを効率的に使用し、可能な限り再生可能エネルギーを活用することで、環境に優しい持続可能な建築を実現するのが目標です。

環境省によるZEBのロードマップ

環境省によるZEBのロードマップは、2050年のカーボンニュートラルを目指す重要な指針です。このロードマップは、業務部門(事務所ビル、商業施設などの建物)からの二酸化炭素排出量削減を重視し、建築物の省エネルギー性能の向上と再生可能エネルギーの活用を推進することを目的としています。

【2030年度の目標】

業務部門において、エネルギー起源CO2排出量を2013年度比51%削減する。

中大規模建築物については遅くとも2030年までに省エネ基準をZEB基準の省エネ性能に引き上げ・適合義務化することが掲げられています。

出典:環境省:ZEB化の必要性と普及目標・ロードマップ

ZEBの具体事例

久光製薬ミュージアム

久光製薬株式会社が佐賀県鳥栖市に建設した「久光製薬ミュージアム」は、ZEBの認証を受けた施設です。このミュージアムは、同社の創業170周年記念事業の一環として建設され、環境への配慮を内外に情報発信するシンボルとして機能しています。

久光製薬ミュージアムのZEB化は、環境への配慮を重視する企業理念と、建物の意匠デザインを融合させることによって実現されました。建物はガラスを多用したデザインで、全面にLow-Eペアガラスを採用し、屋根の断熱強化、空調機の細分化による高効率運転、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)や各種センサーによる効率的な運転制御など、パッシブ技術とアクティブ技術を組み合わせてエネルギー消費を削減しています。

さらに、屋根に太陽光パネルを設置し、創エネを行うことで、新築時に一次エネルギー量を103%削減し、佐賀県初のZEBに認証されました。

三菱電機株式会社 実証棟「SUSTIE」

三菱電機株式会社のZEB関連技術実証棟「SUSTIE」は、SDGs達成に向けた活動の一環として建設されました。SUSTIEは、Sustainability(持続可能性)とEnergy(エネルギー)を組み合わせた造語で、省エネルギーと健康性・快適性を研究・実証するオフィスを表しています。

SUSTIEは、三菱電機独自の「ZEB+®(ゼブプラス)」の考え方に基づき、技術開発を推進しています。高効率機器の導入や自然エネルギーの活用、健康性・快適性の追求などを通じて、省エネ性に優れた快適な居住空間を実現させました。省エネの認証制度であるBELSで最高評価の5スターとZEB認証を取得し、健康性・快適性の認証制度であるCASBEEウェルネスオフィスでも最高のSランクを取得しています。

ZEBの実現を加速させる「壁面太陽光発電パネル」とは?

ZEBの実現に向けて、建築物のエネルギー効率を高めるさまざまな技術が開発されています。その中で注目されているのが「壁面太陽光発電パネル」です。

従来、太陽光発電パネルは屋上や屋根に設置するものでした。しかし、それだけでは設置できる枚数が限られてしまいます。この問題を解決するのが、建物の壁面に設置する壁面太陽光パネルです。建物の壁面を利用することで、屋根のスペースが限られている都市部のビルでも、太陽光発電を導入しやすくなります。

壁面太陽光パネルは、フレックスモジュールを用いたタイプと壁面設置用架台を用いたタイプに分けられます。それぞれのイメージは、下記のとおりです。

壁面設置用架台タイプ

  

フレックスモジュールタイプ

壁面太陽光発電パネルは、ZEBの実現において重要な役割を果たします。導入により、建物自体がエネルギーを生成し、消費するエネルギーを相殺する取り組みがより効率的になるでしょう。特に都市部のビルでは、屋根面積に限りがあるため、壁面を利用した発電が効果的です。

まとめ

二酸化炭素排出量削減に関する取り組みは、今や多くの企業が行っています。ZEBもその1つであり、今後も取り組みを始める企業が増えていくでしょう。その動きに伴い、壁面太陽光パネルの需要も伸びていくことが予想されます。

アップルツリーはGXや太陽光発電システム導入などに取り組みたいと考えている企業様のサポートを行っています。気になることがあれば、いつでもお問い合わせください。

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